犬と暮らそう! 番外編

STEP11 犬と暮らそう!V 防災を考える1
こちらは犬と暮らし始めた方の為の講座です。

今回の授業では、犬と一緒の防災を考えていきましょう。
最近、世界でも日本でも地震による災害が起きています。特に日本は地震大国ですから、絶対に安全な場所というものはまず存在しません。
地震予知についても色々と言われていますが、地震雲が発生したからと言って、会社を休んで何処かへ即避難する事が簡単に出来るわけでもありませんね。
地震災害では避難・救助は人命第一であり、例えどんなに愛しい家族であっても、犬や猫他の動物は副次的な位置に立たされています。

まず人間、それから動物であり、下手すれば、美術品や国宝の方が立場が強いかもしれません。
悲しい事ですが、それが現実です。
可愛い子供達に対して、私達親が出来る事、それは現状を把握し、どうにかして改善していく方法を考えると共に、出来る限りの自衛手段を持っておくことです。
では、まず現在の防災はどうなっているのか知っておきましょう。

動物と一緒の避難については、各自治体がそれぞれの規定を作っています。
つまり、住民に密接に拘わる避難方法や場所については、東京都でも都ではなく、各区で地区毎の避難場所を指定しており、更に、その非難場所に指定された学校に、防災の運営連絡会が設置され、そこがより詳細な避難生活のあれこれを打ち出しているわけですね。といっても、学校側はただ場所を提供する立場をとり、より詳細な指示は、市区町村から派遣される人間が出すようです。
そして、伴侶動物の避難はこの運営委員会により異なっています。
運営連絡会に強力な動物愛護精神の持ち主がいれば、動物への対策も進んでいくでしょうが、動物に無関心な人ばかりであれば、当然、人間中心の避難生活プランしか考えてはくれないでしょう。

実際、区や地域により、キャリーやクレート、ドックフードなどを用意している場所もあれば、何もしていない場所もあります。
ANGのある練馬区の防災課にお話を伺ったところ、練馬区は、動物との避難を考える計画が持ち上がってはいるものの、まだ手を付けられていない状況と言うことでした。
また、各運営会の方針を聞いても、犬猫については直接聞いてもらわないと・・言われました。これは、つまり区の中心である筈の区役所の防災課の人間も市民に提供できる対策を把握していない、と言うことですね。
この練馬区ですが、防災予測はかなりすごいですよ。
そもそも、区民の避難については、人口10%の数を基準としています。現在の練馬区の人口が68万人ですから、このうち、避難すると予測されているのは6万8000人ですね。
10人に1人しか避難民にはならないだろう・・という話です。
根拠を聞くと・・・
まず、東京は関東大震災があったため、災害意識が高く、建築物の基準も他所に比べて厳しいこと。
特に、昭和57年に更にきつくなった建築基準法の耐震基準により、それ以降に建てられた建築物の倒壊はまずないだろう、と予測している事。更に、区民全ての避難を考えていたら現在の10倍予算がかかること。
また、多少家のあちこちが壊れたとしても・・つまり窓が割れたり、家具が倒れたりしても・・、倒壊していない限り、避難所生活をせず、家で生活すべきだし、その方が精神的にもずっと良いだろう、と言う事なんですね。
そして、3日たって、救援物資が届いたら、避難所へそれだけ取りに来い、と。
そりゃ、神経質なわんこや猫にとっては、避難所生活よりも多少寒かろうが自宅で頑張った方が良いのかもしれませんが、実際問題として、家の倒壊は免れても、そこに果たして人が住み続けられるのかは大きな疑問です。
更に、フードは多少の備蓄はある(らしい)ですが、優先されるのはまず人間なので、基本的に行政の援助は期待できません。ボランティアの方々の迅速な運動に期待するしかないのです。

ちなみに、それでは、と我が家の防災時避難場所に指定されている小学校に訊ねたところ、教頭先生が色々と答えてくださいました。
まず、学校は主に、区から提示された幾つかの項目に合わせた場所をただ設定しているに過ぎず、より詳細に運営や支持は区から派遣される人間(五人くらいがやってくるそうですが・・)に任されているということです。
つまり、怪我人の場所、避難してきた人の場所、などの項目ごとに、怪我人なら保健室、避難者は体育館、と学校側が場所を決めるわけですね。そこに一応、「ペット」の項目があります。わが町の避難場所の場合、ペットに与えられている場所は体育館倉庫でした。あの体操マットやハードルや跳び箱がしまわれている倉庫ですね。これは、地震が起きて、一緒に避難したら、まず、倉庫にしまわれている諸々を運び出す作業が待っているとみて間違いないでしょう。
広さは教室二つ分強・・ここに猫も犬も猿もアライグマもヘビもワニもタランチュラも一緒に入るわけです。ハムスターくらいなら密かに体育館に連れて行けそうですが、基本としてはペットは体育倉庫になります。
アレルギーや喘息などを持っている子供も多いので、体育館には原則として、ペットの連れ込みは考えていないわけですね。
動物用の場所を設けてくれている事だけで、とり合えずはほっとしましたが、他方、東京をはじめとする都会では人口が密集している事に加えて、室内でパパやママと密接な関係をしっかりと作り上げている犬が多いのでそれらの子が避難所の一角でゲージに入れられて、他の多くとの犬との生活を問題なく過ごせるかどうか、も大きな問題です。
うちの子は臆病で・・とか、うちの子は新鮮な肉しか食べなくて・・なんて言ってられませんよ。

上記はあくまで、練馬事情ですので、場所によってはずっと進んだ対策を練っているところもあるでしょうし、反対にもっと何も考えられていない場所もあるかもしれません。
まずは、御自宅の避難場所はどうなっているのか?をきちんと把握しておきましょう。
市区町村の防災課や避難場所の連絡会に動物との避難について訊ねる事は、自分達にとって勉強になるだけではなく、そうした問い合わせを受けた人に犬との避難を今一度考えてもらうきっかけにもなります。
問い合わせが多ければ多いほど、考える必要性を訴えることにも繋がりますから、関心を持ち、どんどん聞いてみましょう。

さて、では次に避難時はどうすれば良いのか?ですが、基本的に動物はパパやママと同行避難することになっています。取りあえず、逃げる時は一緒に逃げましょう。

ここで、避難するにあたり、色々と用意しておいた方が良い物があります。
*鑑札・狂犬病注射済み票・リード・カラー・ゲージ・迷子札
*最低3日分のフード・食器・水・お薬・うんち袋・ペットシーツ・リードフック
*靴・タオル・ウェットティッシュ・ゴミ袋


鑑札やカラーは当たり前ですが、フードや水はきちんと用意しておいてあげましょう。薬は夏場ならフィラリアの薬やフロントラインなどのノミダニ用の薬は避難が長期になる事も考慮して持って行きますよ。持病のある子は薬を忘れないようにしてください。
ペットシーツは買い溜めて置くと、実は人間の小用にも使えます。水が止まった場合に便利です。お家で生活を続ける時にも色々と役立ちます。
リードフックは地面に刺すタイプのものを1つ持っていると、校庭などの隅を借りて休ませるのに使えます。
小型犬の場合は抱いて逃げる事も出来ますが、多頭のお家や大きな子がいる場合はリードを引いて逃げた方がずっと楽です。しかし、地面にはきっとガラスの破片や木片などがごろごろしていて子供達の足を傷つける可能性が高いです。そんな時の為に1セットは靴を用意しておいてあげましょう。
他には、女の子なら生理用パンツとナプキンは必要ですね。(特に災害時の前後にヒートのある子は必要です)

普段の注意としては、社交的・・とまで行かなくとも、他の犬がいても普通の生活できるようにしておく、とかママやパパと離れても眠れるようにしておく事も重要ですね。
折角一緒に避難しても、他の子の存在でパニックになり、ご飯も食べられないようでは困りますし、パパやママと一緒じゃないと眠れずひたすら泣き続けるようでは、人間にも他の犬にも迷惑です。また、噛み付く癖のある子なら他の子と一緒の避難は出来なくなります。
普段の躾も大切です。

ワクチンも大切ですよ。全ての犬がしているとは限りませんから、まず自分の子だけでも病気にならないように防げる病気は防ぐようにしておきましょう。

以上が大まかな防災時のあれこれですが、実際のところ、災害時の動物の立場は非常に弱いです。
各地で起きている地震の場合でも、フードの差し入れなどはボランティア団体の方が動きが早いです。
いざとなれば、人間の食べ物でも代用は出来ますが、普段から水とフードは余裕を持って一週間分くらい用意しておくようにしましょう。多い分には他の子にも分けて上げられます。
また、現在は日中を留守にされるパパママも多いです。留守が多いご家庭では何かあった場合を考えて、対策を練りましょう。
出来れば地域ごと、同じ犬を大切に思うご家庭同士で真剣に取り組むと良いでしょう。
人間の子供と違って、犬では自衛隊もレスキューも災害時は助けてくれませんよ。
(最悪、自分の犬が何処かに閉じ込められた場合は、「犬を助けて!」とは言わずに「子供が中にいるの!」と叫びましょう。何とかなるかもしれません。ただし後で叱られる可能性大ですが、わが子の命にはかえられませんからね)
災害で失われる物は、今までの暮らしや建物や家財だけではありません。人の命も失われます。しかし、人間だけが被害に遭うわけでもありません。
動物だって被災するのです。
街はいつか復興するでしょう。しかし、失われた人命と同様、死んでしまった動物は二度と戻ってはきません。
人間だけで手一杯の時だからこそ、安易に切り捨てられるこの子達を親である私達は守る必要があるはずです。
勿論、犬だけではないですね。猫だってウサギだって同じです。

どのみち、いざ災害が起きれば、冷静な対処は出来ないに等しいわけですが、それが分かっているなら、事前に出来る限りの手を打ち、考えておく事が必要です。

・・と言うわけで、今回の番外編は宿題がありますよ!
次回までに以下の事を調べておいて下さい。
@緊急の避難場所
A避難場所の更に動物の場所は何処?
Bそこまでの道のりは果たして何分?

宿題を済ませたら、WEB拍手かBBSで「やりましたよ」とお知らせしてくださいね。


全国のパパママ頑張れ!
次回は通常授業に戻ります。次の番外編は一応、災害時の獣医さんについてを予定しています。