犬と暮らそう! 躾編-1
STEP12
犬と暮らそう!W
躾の心得
こちらは犬と暮らし始めた方の為の講座です。
躾って何
人と犬が一緒に暮らしていくための基本的なルールを教える事。それが躾です。
これは、覚えておかないと、犬や人に危険が及ぶ物から、教えておく事でより快適に過ごせる事まで様々です。例えば、お家の中で、きちんとトイレで排泄できる事は、衛生的ですし、人間と犬との暮らしをより快適に出来ます。またマテを覚える事は、我慢させる事以外にも、事故を防ぐ事が出来ますね。交差点などで、きちんとマテが出来ずに車道へ飛び出していくようでは犬の命にかかわります。
多くの人、犬は、大自然の中ではなく、人間が作り出した、人間主体の社会で暮らしていかねばならないのですから、出来るだけ快適に過ごす為の最低限のルールは犬に教えておかなくてはなりません。
また、一緒に暮らす人間が、犬にルールを教えると言う事は、自分の犬にとって、パパとママが強いリーダーシップを取らなくてはならない、という事でもあります。
犬は徹底したヒエラルキーを意識する群れ社会の動物ですから、犬がリーダーシップをとれない以上は、パパやママがより強く、より頼もしいリーダーになり、犬を導かなくてはなりません。
リーダーになる、と言うことは、犬を見下し、隷属させる事ではなく、犬にとって常に力強く、魅力的な存在であり続けるということです。
誰しも存在していたはずの幼少時代を思い出してみてください。
1番幼い頃の記憶が良いですね。お母さんの手は優しくて褒められると嬉しかった。お父さんは大きくて怖いけど、頭を撫でられると気持ちよかった。叱られるのは怖かったけれど、甘えて抱っこされるのは大好きだった。
そんな時代が多くの人にあったと思います。(まぁ、父親が酒乱で、母親がいつも疲れていた・・というようなハードな幼少時代をすごした方も中にもいるかもしれませんし、そもそもどちらも近くに存在していなかった・・と言う方もいるでしょうが、そういう方は、自分がもてなかった理想の両親像を思い描いてみてくださいね。)
あなたが迎え入れた犬は、その頃の自分とほぼ同じだと考えてみましょう。
親は絶対的で、力強く、怖かったけど、同時に頼りになり、自分を守ってくれ、優しく抱きしめてくれる大好きな存在であったはずです。つまりそれがリーダーです。
人間は育てば自我が芽生え、親も完璧ではない事を知り、自分で判断し、自分の世界を確立し、独立して行くものですが、犬は人間が魅力的なリーダーである限り、リーダーのもとで疑問を感じることなく一生を過ごします
犬がリーダーになろう、とするのは、親が魅力的ではなくなった時、力強さを感じなくなった時、信頼感が薄れた時です。
犬にとって魅力的なリーダーであり続けること。それが親となった私達の大切な心構えですよ。
躾の基本
躾はまず、諦めない事、楽しむ事、考える事が大切です。そして、何より、重要なのは、叱るよりも褒めることです。また叩いたり、蹴ったりは余程の事がない限りタブーです。特に小型犬・中型犬で腕や足を上げるのは虐待以外の何物でもありません。
@言葉は短く統一して!
犬は人間の言葉をそもそも理解できません。まず、この事を絶対に忘れないで下さい。
理解できないのですから、長い文章で何かを教えようとしても無理です。
例えば、あなたが言葉の全く通じない異国で暮らすことになったら・・と考えれば、1つの事を覚えるのに、長い文章をくどくど言われるより、短い単語ではっきりと繰り返される方がきっと理解しやすいはずです。
リンゴを指差して、「これは何?」と身振りで問いかけても、「この果物はうちの裏庭でとれたリンゴで、とても新鮮で美味しいのよ」と理解できない外国語で言われてもさっぱりわかりません。どの言葉が一体リンゴを指すのか混乱するからです。反対に、短く「リンゴ!」と言ってもらえれば、数回でああ、これは「リンゴ」と言うものなんだな、と理解できますね。犬も同じです。
「そんなことしたら、家が傷つくからダメでしょ」と注意されてるより、一言「ダメ」と言われる方がずっとわかりやすいのです。
沢山話しかけるのはとても良いことですが、躾をする際には家族全員が、短く、聞き取りやすい、同じ言葉を使うようにしましょう。
A名前をきちんと覚えて呼び戻しが出来るまでは、極力叱る時に名前を呼ばない事。
まず1番最初に犬に覚えてもらいたいのは名前ですね。パパやママが名前を呼んだら必ず反応する子にしなくてはいけません。
躾をする際、「褒める時には名前を呼び、叱る時には名前を呼ばない」という事を強く意識してください。
長く一緒に生活していれば、犬も声色を覚え、名前1つ呼ばれるにしても、「今は優しい声だから、何か良い事があるかも」とか、「げ・・なんか不機嫌そう・・怒ってるかな」とその時の状況や声のトーンで予想してくれるものですが、幼少期はまだそれが分かりません。
更に、褒められる、と言う行為よりも、叱られる、と言う行為の方が衝撃的な体験であるのは、犬も人も同じです。つまり、同じように名前をよんでも、叱られる経験の方が心に残りやすいので、そこで名前を呼ばれると、犬は何やら不快な気分を覚えてしまう事になります。
名前はその子が一生背負っていくものですから、呼ばれる度に嫌な気分になられても困りますし、呼んで逃げられてしまうようでは大変です。
逆に、褒める時に名前を呼ぶと、「名前=褒められる&ご褒美」など良いほうに犬は記憶しますので、呼び戻しの際にも抵抗なく受け入れてくれるようになります。
兄弟が沢山いる場合を除いて、叱る場面で名前を呼ぶのは避けましょう。
叱る時は強く、短い言葉・・「ダメ」とか「あっ」とか「こら」で充分です。
褒める時には笑顔全開で名前を呼んであげましょう。
B躾は一貫が大前提。
その時、その時の気分や状況で態度を変えるのは、犬にとって混乱するだけです。
人間なら、例えば赤点のテストを親に見せる時、今日はボーナスで母親は機嫌が良いから誤魔化せるかも・・などと頭を働かせられますが、犬はそれが出来ません。一緒に生活していると、ママやパパの機嫌を読んだりするようにはなりますが、子犬ではまだまだ無理ですし、何より、躾は親の気分で左右されるべきものではありませんね。
犬にとっては、今日は特別多目に見るけど、今度は怒るからね、と言うのは通じません。
ダメな物はダメ。良いものは良いできちんと統一しましょう。
これは家族でもそうですよ。ママはいつも怒るけど、パパは怒らない、ではいけません。いけない事は家族で統一して必ずいけない、と教え、良い時には家族全員が褒めるようにしましょう。
C叱るのも褒めるのもその場で!長い時間続けるのはダメ。
褒めるのも叱るのもその場でしなければ、犬には何が良かったのか、何がいけなかったのかわかりません。
さっき粗相したから・・と遊んでいる犬を叱るのは、犬にとっては遊んでいるのを叱られている、と理解してしまいます。褒める時も同じですね。
どちらもその場で済ませます。よく叱ると長い間不機嫌が続く人がいますが、それも意味がありませんし、犬にとっても他の家族にとっても鬱陶しいだけですから、やめておきましょう。
D叱るよりも褒めて育てて
日本人は特に、夫婦にしても、子供にしても、身内を褒めるのが苦手ですね。褒めるという事はどんな場合にも大きなモチベーションになるものです。どんどん褒めましょう。
時折、褒めたいけど、いつも悪戯ばかりで何処をどう褒めて良いがわからない、とお悩みのパパやママもいますが、それは褒めるタイミングをきちんと把握していないからです。
犬が何かをした時にだけ褒めれば良い、と考えていませんか?
犬を褒めるのは、悪い事をしていない時です。つまり疲れて寝ている時でも、ご飯をもりもり食べている時でも、何となくまったりしている時でも良いのです。
玩具で遊んでいる時、ママについて来る時、名前を呼んで顔をあげた時、何もしていない時、どんどん褒めてあげましょう。犬が何もしていない時はママやパパに迷惑をかけていない時でしょう?それはとても良いことのはずですよ。
お散歩の時もそうです。たまたまでもまっすぐに歩いたら「良い子だね」と褒めましょう。リードを引っ張られて怒ったり、違う場所に行こうとして注意するよりも、ママやパパの隣に来たら褒め、歩き出したら喜んであげましょう。
1つ叱ったら10褒める事。これ基本です。ちなみにこれは人間にも応用できますので、奥さんや子供にもどんどん活用しましょうね。
E戸惑ったら考えて。
もしも思うように躾られなかったら、犬をバカだと決め付ける前によく考えてみましょう。
勉強と同じで、やる気のない時に無理矢理教えようとしていませんか?言葉を曖昧に発音していませんか?タイミングがずれていませんか?冷静に何がいけないのか考えましょう。
ダメな犬もバカな犬もアホな犬もいませんよ。犬には犬の理解の仕方があって、それが人間のと少し違うだけですから、きちんとそれに合わせてあげれば絶対に分かってもらえる筈です。
たまに謙遜でなく、自分の犬をバカアホ扱いしている人がいますが、それは、自分で「私は犬を育てられないダメ人間です」と公言しているようなものです。
1度に全てをやろうと思わず、毎日の生活の中で、五分でも十分でもいいですから、楽しみながらやりましょう。
F個性を認めるのは大切。
十人十色というように、犬にもそれぞれ性格があります。打たれ強い子、すぐに落ち込む子、いつまでも引きずる子、すぐに忘れる子、大らかな子、神経質な子、強気な子、弱気な子。百の犬がいれば、百の個性があって良いのです。出来れば、性格に合わせて、叱ったり褒めたりを調節したいものですが、初めてのパパとママにも難しいかもしれません。
ただ、お友達の犬や公園やお散歩先で色んな子と出会うようになると、少しずつ、うちの子はああではないな、とか同じ犬種でもなんでこの子はこんななんだろう・・と思う事がちらほらと出てきます。
怖がりな子は他の犬と遊べないかもしれません。元気な子はお隣の子よりも全然落ち着きがないかもしれません。
それを一々比べて落ち込むのは無意味です。それが性格なのですから、違っている=異常、出来が悪いと考えるのはやめましょう。
躾もそうですよ。トイレをすぐに覚える子、なかなか覚えない子、それぞれです。早い子は1日で覚えても、遅い子だと1年以上かかる場合もあります。勿論教え方の上手下手でも差は出ますが、神経質にならず、気長に取り組む事が大切です。